東洋医学からみた大腸のお話の続きです。
前回のおさらいとして、大腸には『伝導(でんどう)』という働きがありました。
この『伝導』という働きは、『糟粕(そうはく)』と言われる食べ物のカスを肛門の外に出す働きでした。
この『伝導』は、肺と大きく関わります。
肺と大腸の関係
以前、『臓と腑は、特定の臓腑間で表裏関係があります。』と書きました。
臓腑について。【概論1】の、『臓』と『腑』と『奇恒の腑』の共通点と異なる点を参照。
大腸と表裏関係にあるのは、肺です。
肺の機能に『粛降』というのが、ありました。
『粛降』とは、気や水を降ろす作用です。
力の働く向きとして、下向きの働きです。
同様に、
飲食物も、上から下へ降りてきます。
実際の順番として、口→胃→小腸→大腸→肛門を通り、最後には大便として排出されます。
つまり、
大腸の『伝導』も『粛降』も、同じ下向きのベクトルという事です。
その為、
肺の『粛降』の働きが、大腸の『伝導』の働きを助けます。
また、
大腸の『伝導』が正常であれば、肺の『粛降』も正常に機能します。
『粛降』と『伝導』が正常に機能しない時
肺の『粛降』が正常に機能しない時。
例えば、風邪をひいたり等で『粛降』が正常に機能せず、その為、大腸の『伝導』の機能が正常に働けず、便秘になる事もあります。
大腸の『伝導』が正常に機能しない時。
大腸の『伝導』が正常に働かなくて、便秘になった場合、肺の『粛降』を邪魔してしまう為に(交通渋滞を想像して下さい)、気や水が降りずに上に逆流します。
その結果、咳が出たり呼吸困難が発生する事があります。
まとめ
このように、肺の『粛降』と大腸の『伝導』はお互いに助けあって機能しています。
今回は、ここまでにします。
次回も、大腸について書きます。
参考文献
基礎中医学 燎原
臓腑経絡学 改訂第三版 アルテシミア
文:荒木かおり