こんにちは。風待堂鍼灸院の荒木かおりです。
前回から、東洋医学からみた肺についてお話をしています。
前回までのお話
ここから今回の話
今回は、肺の形態についてお話をします。
【形態】
肺管九節
『類経図翼』にある肺の図の上の部分に、『肺管九節』と書かれています。
部位的には、気管にあたる部分です。
この九という数字。
数字にも陰陽があり『奇数は陽』『偶数は陰』。
そして、九は陽の極みと言われています。
その為『肺管九節』とは、実際に気管が9つに分かれていますという意味では無く、気管の部分が熱を持ち易いというのを表現していると考えられます。
八葉蓮華
<八葉蓮華> 大葉(前後三葉ずつ)
小葉(左右各一葉)
類経図翼の図によると、六葉両耳。
つまり、6+2=8で、8葉となります。
西洋医学では、右肺は、上葉・中葉・下葉。左肺は、上葉・下葉。左右あわせて、3+2=5で、5葉となります。(ちなみに、左肺が1葉少ないのは、心臓が左に寄っている為です)
古代の人も解剖をして、肺を実際に見てた筈なのに、なぜ西洋医学と同じ5葉にならなかったのでしょうか?
東洋医学の他の臓腑を確認して、考えてみましょう。
東洋医学で、葉の形をしている臓腑には肺以外に肝があります。
この肝は、七葉です。
なぜ、肺は八葉で、肝は七葉なのか。
先ほどの、数字にも陰陽があるという話に戻ります。
肝は、七葉で陽。
肺は、八葉で陰。
肝は将軍の官といい、猛々しい臓腑の性質なので陽である七葉。
肺は猛々しい肝に比べて、陰の性質なので陰数である八葉。(肝に比べて、高い位置にあるので6にならなかったと思います。)
と、考えることが出来ます。
なぜ、葉の形態なのか。
因みに、葉の形をしているのは、何かを貯蔵する事が出来るという意味があると思います。
肝は血を蔵し、肺は気を蔵します。
つまり、肺と肝は気血の調節に共にかかわるわけです。
今回は、ここまでにします。
今回は、肺の形態についてお話をしました。
次回は、肺の機能についてお話をします。
参考文献
基礎中医学 燎原
鍼灸学[基礎篇] 東洋学術出版社
臓腑経絡学 改訂第三版 アルテシミア
文:荒木かおり