【主訴】月経不順
【患者さん】大阪市在住 30代 女性 自営業
【現病歴】
10年以上前から、月経不順(40~45日周期)が続いている。
今回、最終月経から60日経過した為、治療を希望される。
【問診情報】
ここ3ヶ月間、ほぼ毎日ジョギングしている。
ここ2週間は、以前に運動のし過ぎで月経が来ない事があったので、ジョギングを控えている。
最近は、散歩(早歩き)とジムで身体を動かしている。
ただし、最近ジムで力が入りにくい事がある。
飲食は不変。
お通じ、順調。
夜中の2時位まで、起きている。
3日前に風邪を引きかけた。
【体表観察情報】
舌:色あせ。少し胖嫩舌。薄白苔。
脈:1息4至。細脈。左尺位が弱い。
腹:邪=左脾募、左肺先、左腎水、右肝相火、臍周。
背候診:虚=左肺兪、右志室、右腎兪。
実=右神堂、右膈兪、左胆兪、左脾兪、右小腸兪。
経穴:虚=左天井、右外関、右太淵、右照海、左滑肉門、関元。
実=右合谷、右後谿、左血海、右上巨虚、右足臨泣、右太衝、右衝陽。
虚中の実=左後谿、右公孫、左三陰交。
【診断】
東洋医学では、夜寝ている時間に血が作られると考えます。
また、過度な肉体負荷や目を酷使すると、血の消耗を促すとも考えます。
今回患者さんの就寝時間が遅い事と、過度な運動により、一時的に血が不足している為に月経が遅れていると考えました。
また、体表観察情報より、風邪も完治していないと考えました。
風邪を治さないと、自然治癒力も働きにくい為、風邪の治療をしてから、月経が来る治療をする事にしました。
【治療】
風邪の治療:左滑肉門穴。
・抜鍼後、患者さんが、右下腿の足少陰腎経の経絡に違和感を感じる。
・左照海穴の虚の反応が浮いてきた。
月経不順の治療:左照海穴。
・脈診の左尺位の虚が、充実する。
【結果】
治療の当日、患者さんから連絡がある。
・肩こりが楽になった。
・隠れてたっぽい頭痛が少しします。が、よくなりそうなやつっぽい。
治療から2日後の朝に、患者さんから連絡あり。
・昨日の昼に生理が来た。
・最近、色が薄かったが濃い色だった(赤黒)。
・量も多かった。
【考察と感想】
月経不順の治療は、他にもありますが、人によって使用する経穴は異なります。
また、同じ人であっても、その時の身体のバランスによっても使用する経穴は異なります。
今回は、正気の弱りと、邪気の充実度が半々の状態であると判断致しました(虚実錯雑)。
患者さんから、治療の翌日に月経がきたとお知らせを頂き、大変嬉しく思います。
女性特有の疾患である月経の問題に、鍼灸治療は非常に有効であると再認識しました。
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