今回は、お酒のいい面についてお話を致します。
お酒の悪い面については『酒は百薬の長?』でお話を致しました。よろしければ、そちらもお読み下さい。
江戸時代の儒学者である貝原益軒先生の著書『養生訓』には、下記の文章があります。
酒は天の美禄(びろく)なり。
少(すこし)のめば陽気を助け、血気をやはらげ、食気をめぐらし、愁(うれい)を去り、興(きょう)を発して、甚(はなはだ)人に益あり。
多くのめば、またよく人を害すること、酒に過(すぎ)たる物なし。
水火の人をたすけて、またよく人に災(わざわい)あるが如し。
貝原益軒 養生訓より引用
~かおり意訳~
酒は天からの有難い贈り物である。
少し呑めば、陽気を助け、気血をやわらげ、消化を助け、心配事を忘れさせ、面白い事が湧き出て、とても人に利益があります。
ところが、お酒を多く呑むと人に害を与えます。お酒以上に、人を害するモノはありません。
水や火が人の役に立つが、また逆に、人に災いをもたらすのと同じである。
このように『養生訓』では、お酒について好意的に書かれています。
お酒は適量がよい
黄帝内経素問では、お酒の害について書かれていました。
貝原益軒先生は、黄帝内経を読んだ事が無いのでしょうか?
その様な事は無いです。
貝原益軒先生は、黄帝内経も研究されてました。
実際に、貝原益軒先生の『養生訓』には、『黄帝内経』からの引用が何回も出てきます。
お酒の害について認識したうえで、良い面も『養生訓』には書かれています。
陰と陽、ともにあり。
少し呑めば、酒は人に益する。
多く呑めば、酒は人に害する。
この事は、唐の医家の『孟詵(もうせん)』先生も下記の様な事を言ってます。
『脈を通じ、脾気を養い、肝を扶(たす)ける』
『久しく飲めば神(しん)を傷(やぶ)り、寿を損じる』
因みに『孟詵』先生は、食事療法の本である『食療本草(しょくりょうほんぞう)』の著者の1人です。
お酒には、悪い面もいい面もあります。
せっかくなので、『酒は天の美禄』という呑み方をしたいですね。
と、自分に言い聞かせます(笑)