東洋医学から観た、胃のお話の続きです。
前回までのお話は、こちら
ここから、今回のお話です。
胃の働きの続きと、特徴のお話です。
【胃は、通降を主る。降をもって和とする】
口から入った飲食物は、胃で『受納と腐熟』を受けて、身体に不要な濁の部分は、小腸から大腸へと降ろされていきます。
このように、飲食物のカスを身体の下方へ降ろしていく働きが、胃にはあります。
その為、『胃は、通降を主る』と言われています。
この働きが、正常に機能しないと、
・胃が空っぽにならない為に、新たな飲食物を受納する事が出来ない為、食欲に影響が出る。
・濁った気が降りていかないので、口臭やゲップが出たり、上腹部に張った痛みが出現する。
・飲食物のカスが降りない為に、便秘になったり、逆に嘔吐をする。
上記のような症状が現れる事があります。
胃の『下へ降ろす作用』が正常に機能しないと、『受納と腐熟』の働きも正常に働けなくなります。
その為、『胃は、降をもって和とする』と言われています。
【湿を喜(この)み、燥を悪(にく)む】
『水穀の海』である胃は、飲食物の受納と腐熟が順調に行われるのが良い状態です。
『腐熟』というのを想像してみましょう。
まず、胃を鍋と想像しましょう。
その鍋に飲食物を入れ、火にかけます。
すると、時間が経つとドロドロの状態になります。
このドロドロの状態が腐熟です。
ドロドロの状態から、身体に必要な『水穀の精微』を取り出します。
もし、お鍋に潤いがなく、カラカラならば、お鍋の中の飲食物はドロドロになりません。
腐熟が出来なければ、飲食物から水穀の精微を取り出す事が出来ません。
その為、
『胃は、湿を喜み、燥を悪む。』と言われています。
以上が、胃のお話でした。
今回で、胃のお話は終わります。
次回から、『脾』についてお話を致します。
参考文献
鍼灸学[基礎篇] 東洋学術出版社
基礎中医学 燎原
文:荒木かおり