梅雨です。
湿度が高い日が続きますね。
雨が降ると、身体が重だるくなる人はいませんか?
今回は、雨が降ると身体が重だるくなるメカニズムを『易経(えききょう)』を交えて、東洋医学で説明を致します。
健康とは
病気の状態(異常な状態)を知るには、先ずは健康な状態(正常な状態)を知らなければなりません。
歪んでいる状態というのは、まっすぐな状態を正しく認識する事によって『歪んでいる』というのを認識出来るのです。
東洋医学で健康な状態というのは、
『気』『血』『水(津液)』が過不足なく体内を巡っている状態ともいえます。
湿気が多くなると
『気』『血』『水(津液)』は、互いに影響しています。
例えば、『水(津液)』の流れが停滞すると、『気』と『血』も停滞します。
梅雨は、特に『水(津液)』の停滞を招きやすいです。
そのため、『気』も『血』も停滞しやすくなります。
そうすると、『気』『血』で栄養されていた部位が栄養されなくなり、身体が重だるくなります。
また、『水(津液)』自体の停滞も様々な症状を引き起こします。
頭部で停滞すると、重だるい頭痛。
首や肩で停滞すると、重だるい首凝りや肩凝り。
腹部で停滞すると、ハッキリとした痛みは無いが、なんとなく気持ちが悪かったり(悪心)、膨満感やお腹が重い感じがする。
腰部で停滞すると、腰が重だるくなります。
足部で停滞すると、足がむくんだり、重だるくなります。
『水(津液)』の停滞の症状をみていくと、ある共通事項に気づきます。
それは、『重だるさ』です。
これは、『湿邪』のお話の時に出てきた、『重濁性(じゅうだくせい)』というのが関わります。
参照:湿邪(しつじゃ)
『重だるさ』というのは、湿邪以外が原因で起きる事もありますが、湿邪が起こす特徴的な症状の1つです。
話を戻します。
なぜ、身体の外である湿度が高くなると、身体の中の『水(津液)』の流れが停滞しやすくなるのでしょうか?
同気相求
四書五経の一つである『易経』に『同気(どうき)相求(あいもと)める』という言葉があります。
これは、気の合うものは自ずから親しくなり、より集まる。という意味です。
九五曰。飛龍在天。利見大人。何謂也。
九五に曰く、飛竜天に在り、大人を見るに利(よ)ろしとは、何の謂いぞや。
子曰。同聲相應。同氣相求。
子曰く、同声相い応じ、同気相い求む。
水流濕。火就燥。
水は湿(うるお)えるに流れ、火は燥(かわ)けるに就(つ)く。
雲從龍。風從虎。
雲は竜に従い、風は虎に従う。
聖人作而萬物覩。
聖人作(おこ)りて万物観(み)る。
本乎天者親上。本乎地者親下。
天に本づく者は上に親しみ、地に本づく者は下に親しむ。
則各從其類也。
すなわち各々その類に従うなり。
朝日選書 中国古典選 易~本田済 著~より引用
同気相求める。
水が流れる際、地面の湿った部分へ早く流れてゆく。
火の燃え移るとき、乾燥したものにまず燃えつく。
元々、身体の中の湿気が多い(内湿)人は、身体の外にある湿気(外湿)を呼び込みやすいのです。
そのため、梅雨にしんどい人としんどくなる人というのは、この『内湿』の多い少ないというのが、1つの分け目にもなります。
水に関わる臓腑はいくつかありますが、この時期、内湿に多く関わるのが、『脾』になります。
関連:『脾について』のまとめ
脾というのは、『運化を主る』と言われてます。
運化というのは、化けて(性質を変えて)運ぶという意味があります。
脾が弱ると、『水湿の運化』といわれる、体内のよけいな水分を運ぶ働きが低下します。
そうすると、体内には余分な水分(内湿)がたまりやすくなります。
内湿が多い人というのは、脾が弱い人ともいえます。
是非、上記の関連の『脾』の話も読んで下さい。
食べない方がよいもの
脾が弱らないためには、どうするか?
ここで、養生訓から『脾胃』の嫌う十三種を紹介致します。
脾胃のきらふ物は生しき物、冷なる物、こはき物、ねばる物、けがらはしく清からざる物、くさき物、煮ていまだ熟せざる物、煮過して【にえばな】を失へる物、煮て久しくなるもの、菓のいまだ熟せざる物、ふるくして正味を失なへる物、五味の偏なる物、あぶら多くして味おもきもの、是皆、脾胃のきらふ物也。
是をくらへば脾胃を損ず。
食ふべからず。
貝原益軒~養生訓~より引用
・生もの
・冷たいもの
・固いもの
・ねばっこいもの
・不潔なもの
・くさいもの
・生煮えのもの
・煮過ぎて香りをなくしたもの
・煮て久しくおいたもの
・未熟な果実
・古くなって味をなくしたもの
・五味のかたよったもの
・脂っこくてしつこいもの
以上のものを食べると、脾と胃を痛めます。
貝原益軒先生は、上記の事を言ってます。
梅雨に体調を崩す人は、『脾胃』の嫌う十三種を控えた方がいいかも知れません。