こんにちは。風待堂鍼灸院の荒木かおりです。
前回までは、気の機能についてお話をしました。
今回は、『気』以外の物質についてお話をします。
前回までのお話は。
今日のお話です。
今回は、精・血・津液についてお話をします。
精(せい)について
精には、『先天の精』と『後天の精』があります。
先天の精は、父母の精が結合して生じます。
先天の精は腎(じん。東洋医学の腎であり、西洋医学の腎臓とは異なります。)に貯蔵され、出生後は後天の精に補充されます。
そして、成長発育および生殖繁殖の基礎になります。
後天の精は、空気と飲食物から摂取した栄養のうち、余裕のあるものを腎に補充されます。
後天の精の補充の際に、先天の精を用いて補充します。その為、相補関係にある『先天の精』と『後天の精』を分離する事は出来ないです。
精を簡潔に言いますと、エネルギーの元の元の様なものです。
その為、成長発育に障害がある場合に、精の問題がある可能性があります。(勿論、他の病因も考えられます)
血(けつ)について
血は、全身を栄養し滋潤する機能をもちます。
古典である『素問・五臓生成篇』に『肝(目)は血を受けてよく視、足は血を受けてよく歩き、掌は血を受けてよく握り、指は血を受けてよくつまむ』とあります。
このように、視覚などの感覚や運動機能は、血の滋潤を受けて正常に働きます。
その為、血が不足すると、目がよく見えなかったり、こむら返りが起きたり、手が震えたりします。
そして、東洋医学独特の観点なのですが、精神の安定にも血は大きく関わると考えます。
血が十分に足りていると、意識を清明にします。
逆に血が不足すると、イライラしたりボーっとしたりします。
津液(しんえき)について
津液とは体内における各種の正常な水液の総称である。
また、胃液・腸液・唾液・涙・涕(はなみず)などはすべて津液であり、汗・尿も津液が変化したものである。
津液は、性状・機能・分布部位等の違いにより、津と液に区分される。
津は、サラサラで全身にくまなく分布し、皮膚や毛穴によく散布する。
液は、粘調でかつ限局性であり、主として骨・関節・臓腑・脳・髄および目・口・鼻などの穴に注がれる。
津と液は、相互に転化出来ます。
機能としては、全身を潤す作用です。
津液が機能しなくなると、潤いがなくなります。
例えば、関節の動きが悪くなったり、皮膚が乾燥したり、大便が出にくくなります。
以上で、精・血・津液のお話をいったん終わります。
そして、『気』についてのお話もいったん終わります。
次回からは、東洋医学での臓腑について、お話をします。
文:荒木かおり