肺について。その3(肺の機能1)

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こんにちは。風待堂鍼灸院の荒木かおりです。

東洋医学から観た肺のお話。今回が3回目です。

前回までのお話

肺について。その1(肺の位置)

肺について。その2(肺の形態)

ここから、今回のお話

肺の機能について。

・肺は魄を蔵す

五臓には、『五神(ごしん)』というものを蔵しています。

*本によっては、五臓七神(ごぞうしちじん)と書かれています。

この五神というのは、精神的作用みたいなモノを表しています。

簡単にいえば、各五臓にも『こころ』としての機能があるという考え方です。

東洋医学の臓腑は機能を主として分けている為に、五臓に変調をきたせばそれぞれの機能の『こころ』も病むという事になります。

西洋医学では、『こころ』の問題をほとんど『脳』の問題と捉えますが、臓腑の世界観の違いの現れだと思います。(勿論、東洋医学でも『脳』は大事な役割があります)

それぞれの臓腑に蔵する『神』は

心=神(しん)

肺=魄(はく)

脾=意(い)・知(ち)

肝=魂(こん)

腎=精(せい)・志(し)

とあります。

そして、五神を統括するのが、『神(しん)』を蔵する『心』になります。

今回のお話の肺が蔵するのは『魄』です。

魄とは

たましひ。
人の生成長育をたすける陰の気。
魂が精神をつかさどるのに対して、主として肉体を主宰し、五官の機能はみな此の気の働きといわれる。

大修館書店 大漢和辞典より

とあります。

肝が蔵する『魂』と肺が蔵する『魄』は、魂魄(こんぱく)といい、陰陽の関係にあります。

魄は、魂に対しては陰の関係になります。

 

大漢和辞典にある、魄の説明の最後の部分『五官の機能』とは、人間が外界の事物を感じる五つの感覚器官。目・耳・鼻・舌・皮膚。の感覚の事です。

つまり、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚や痒みや温冷覚などの事です。

こういった感覚は肺が蔵する『魄』の働きであると考えています。

一例として、風邪に冒された場合。嗅覚や味覚が鈍くなるというのは、よく体験しますよね。

これは、魄を蔵する肺が、風邪で弱れば魄の働きも鈍くなる為、上記の症状になると考えます。

ただし、五神を統括する『神』が最終的には、感覚に関与します。

その為、『神』の働きが鈍くなれば、魄の働きも鈍ってきます。

今回は、ここまでにします。

参考文献

大修館書店 大漢和辞典

臓腑経絡学 改訂第三版 アルテシミア

 

文:荒木かおり

 

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