こんにちは。風待堂鍼灸院の荒木かおりです。
東洋医学からみた、肺のお話の続きです。
前回までのお話
ここから、今回のお話
肺の機能について。
肺は、皮毛を主る。
皮毛とは、皮膚・汗腺・うぶ毛などを包括した一身の垣根の事です。
身体の内に、外邪が入らない様に守る役割があります。
その防御に役立つのが衛気です。
衛気については、『気』について。その3を参照。
肺が宣発粛降によって、全身に衛気と津液を行き渡らせて、身体を外邪から守るのです。
宣発粛降については、肺について。その1(肺の位置)を参照。
逆にいえば、宣発粛降が上手く機能しない場合。
皮毛が乾燥してツヤがなくなり、外邪を防御する機能も低下して風邪をひきやすくなります。
また、衛気は毛穴の開け閉めや、汗の調節を行います。
衛気が虚して、肌表不固(『きひょうふこ』と言います。毛穴が開いたままの状態です。)になると、自汗(『じかん』といい、汗がダラダラ出る状態)になります。
逆に、衛気は毛穴を開ける作用もあるので、衛気が上手く廻らずに完全に毛穴が閉じてしまうと、無汗になってしまいます。
皮膚は、適度なツヤと潤いがあるのが正常なのです。
ところで、最近は見かけなくなりましたが、風邪の予防に『乾布摩擦』をする事は、皮毛と肺の関係から考えると、理にかなっていると言えます。
藤本蓮風先生監修の『臓腑経絡学』には、アトピー性皮膚炎と、肺の臓の関連性を述べています。
今回は、ここまでにします。
次回に続きます。
参考文献
基礎中医学 燎原
臓腑経絡学 改訂第三版 アルテシミア
文:荒木かおり