東洋医学からみた『心(しん)』のお話の続きです。
前回、
西洋医学の心臓(ハート。heart)と、東洋医学の心臓(しん。心)は大きく異なる部分があります。
というお話を致しました。
その違いについてお話をしていきます。
違いというのは、働きが異なります。
西洋医学
・全身に血液を送るポンプ作用の働き(循環器系の中枢)。
東洋医学
・全身に気血を巡らすポンプ作用。
・精神、意識、思惟活動を主宰する働き(精神活動の中枢)。
上記のように、東洋医学では『精神活動』という働きがあります。
普段、私達は精神活動の事を『心(こころ)』と言っています。
『心持ち』『心が動く』『心が折れる』『心にもない』『心が広い』『心が躍る』『心を入れ替える』
上記のような言葉がいっぱいあります。
だから、心(しん)に精神活動があるといっても特別な事ではないのです。
『心』の精神活動の具体的な話については、今後少しづつしていきます。
ここで、『心』の図をよく見てみましょう。
ズームイン!!
上記は、和漢三才図会の『心』の図です。
他の古典(類経図翼、臓腑経絡詳解等)も、ほぼ同じ絵です。
ここには、『心』に対して全ての臓(肺、腎、肝、脾)が連絡する様子が書かれています。
また、よく見ると。
肺とは、肺管九節で繋がっていますが、絵もきちんと、九節になっています。
大雑把に見えて、きちんと綿密に描かれています。
関連:肺について。その2(肺の形態)←肺管九節の解説です。
東洋医学の図は、実際の形よりも機能を重視して描かれています。
そのため、上記の図は『心』が他の臓腑に対しての強い結びつきを表していると思われます。
今回のお話をまとめると、
・心は、精神活動の中枢も担う。
・心は、他の五臓六腑と強い結びつきがある。
以上です。
これから、心の機能のお話をしていくことで、上記の2点も分かりやすくお話をしていきます。
参考文献
臓腑経絡学 改訂第三版 アルテシミア
鍼灸学[基礎篇] 東洋学術出版社
基礎中医学 燎原
文:荒木かおり