東洋医学からみた、肺のお話の続きです。
前回までのお話
ここから、今回のお話
肺の病気について
肺が病むと、どうなるのでしょうか?
宣発粛降が上手く機能しなくなると、浮腫や無汗、喘息や咳や鼻水などの呼吸器の問題が生じる可能性があります。
通調水道が上手く機能しなくなると、浮腫や小便が出にくくなったり、尿量が減少する可能性があります。
『肺は皮毛を主る』ので、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患が発生した場合、肺が関係している場合もあります。
それでは
『浮腫』が起きていれば、肺を治療すればイイのか?というと、そういう訳ではありません。
『浮腫』が起きているから肺だけが原因とは、限りません。
他に、腎や脾、三焦、肝が原因で起きる事があります。
それに、肺の臓腑単体の問題より、他の臓腑が原因で『宣発粛降』などの機能が阻害されている可能性があります。
似たようなお話に、
胃が痛ければ、胃薬なのか?
例えば、テストの前に胃がキリキリしてきました。
この場合、胃薬で胃の症状をとる事が出来るかも知れませんが、症状が全然変わらない場合があります。
胃がキリキリする原因が、テストに対する緊張である場合、その緊張を取ってあげたら胃痛は治りますよね。
症状が出ているから、その症状と直接関係がある臓腑だけを治療すれば、治るわけでは無いです。
ここに、東洋医学の難しさと魅力があると思います。
今回で、東洋医学からみた肺の臓腑を一旦終了します。
参考文献
鍼灸学[基礎篇] 東洋学術出版社
臓腑経絡学 改訂第三版 アルテシミア
文:荒木かおり