東洋医学からみた『脾』のお話のまとめです。
【前回までのお話はこちら】
【今回のお話は、ここから】
脾は、燥を喜(この)み湿を悪(にく)む
脾は、水湿を運ぶ働き(運化機能)があり、水湿は停滞してはならないのですが、
飲食の不節制や、生モノや冷たいモノの過食により、脾気が邪魔をされて、水湿が体内に滞ります。
この状態を『湿困脾土(しっこんひど)』と言います。
あるいは、
脾が弱って、運化が上手く機能出来ないために、体内に水湿が発生します。
この状態を『脾虚湿盛(ひきょしっせい)』と言います。
『湿困脾土』と『脾虚湿盛』は共に、泥状便や水様便、食欲不振、水腫などの症状が現れますが、原因は異なります。
症状は同じだったとしても原因が異なるため、治療が異なることがあります。
【脾と胃の関係について】
脾と胃について、まとめます。
脾と胃は、協力しながら飲食物の消化と吸収を担います。
口から入った飲食物は、胃が受取り(受納)ます。その後、消化(腐熟)をして、栄養(水穀の精微)を取り出します。
脾は、取り出した栄養(水穀の精微)を、全身に行き渡すために、肺へ運びます(昇清)。
胃は、飲食物のカスを小腸→大腸へ運びます(降濁)。
上記の様に、脾は上向きのベクトル。胃は、下向きのベクトルに働いています。
関連:胃について。その4(胃は、通降を主る。降をもって和とする)
また、
・脾は、燥を喜み湿を悪む
・胃は、湿を喜み燥を悪む
とある様に、脾と胃は対立する特徴(ベクトルが上向きと下向き、湿と燥に対する性質)がありながら、飲食物の消化と吸収という、生命が生きていくのに必要な大事な働き(後天の精を補う)を協力して行っています。
追記
参考文献
臓腑経絡学 改訂第三版 アルテシミア
鍼灸学[基礎篇] 東洋学術出版社
基礎中医学 燎原
文:木下かおり